ImmunoTox Letter

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新評議員より
評議員就任にあたって

坂入 鉄也
田辺三菱製薬株式会社
創薬本部 安全性研究所

坂入鉄也先生
坂入鉄也先生

 このたび日本免疫毒性学会の評議員を拝命いたしました田辺三菱製薬株式会社の坂入鉄也と申します。様々な方面でご活躍されている先生方が集う本学会で評議員を務めさせていただくことは、非常に光栄であり、また、身の引き締まる思いがいたします。拝命に当たり、ご推薦、ご承認を賜りました先生方に厚く御礼申し上げるとともに、本紙面をお借りして皆様にご挨拶させていただきたく存じます。

 私は、学生時代、東京大学農学部の獣医病理学研究室にお世話になって以来、現在に至るまで、病理学を基礎とした研究に携わってまいりました。博士論文のテーマとして、マウス肝芽腫の生物学的特性とその由来に関する研究に取り組み、病理学的、免疫組織化学的、分子生物学的手法を用いて、本腫瘍が未分化な細胞に由来する可能性を示してきました。その一方で、勤務先では、非臨床安全性研究に関わる業務として、免疫毒性評価に携わる機会に恵まれ、免疫毒性試験の病理評価や試験責任者業務、免疫毒性評価プランの策定などを担当しながら現在に至っております。毒性試験において、病理検査は免疫系への影響を捉える入口であると同時に、免疫組織化学的手法と組み合わせることで、その標的細胞や毒性発現機序を推定しうる重要なツールであり、免疫毒性評価とは切り離せないものですが、開発候補化合物によって引き起こされる様々な病態を目の当たりにし、それだけでは明らかにできない部分が多いと痛感しております。免疫毒性評価に携わる者として、飛躍的な発展をみせる免疫学に関する知識を貪欲に蓄積し、それを基に免疫毒性研究を発展させる必要があると改めて認識しているところです。

 免疫毒性学に直接的に関わる研究業績が乏しく、まだまだ浅学の身である私にとって、非常にハードルの高い課題ですが、研究分野として裾野が広く、興味が尽きない領域ですので、取り組み甲斐があるとも感じております。これからも自分の専門性を生かしつつ、免疫毒性分野の研究の深化に努め、微力ながら、本学会並びに免疫毒性学の発展に尽力をいたす所存でございます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。