immunotoxicology.jpg
title1.jpg
Non-category (寄稿・挨拶・随想・その他)

新評議員より
評議員就任にあたって

武吉 正博
一般財団法人
化学物質評価研究機構
武吉 正博
武吉 正博先生

このたび日本免疫毒性学会の評議員を拝命することとなりました武吉と申します。評議員拝命に際し、ご推薦を賜りました先生方に厚く御礼申し上げますと共に、紙面をお借りして皆様にご挨拶をさせていただきたいと思います。

私は一般財団法人化学物質評価研究機構に入構後、大分県日田市にある研究所にて長年にわたり化学物質の刺激性・感作性・抗原性試験を中心とする 特殊毒性分野の仕事に携わり、現在は埼玉県にある弊機構の安全性評価技術研究所にて化学物質安全性分野における技術開発としてゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスといった生体分子の網羅的解析結果を基にした安全性評価手法の開発や生物医薬(サイトカインや抗体医薬)の生物活性評価技術の開発に携わっています。

全身性アナフィラキシー試験や受身皮膚アナフィラキシー試験などの抗原性試験、IV型アレルギーの検出系であるモルモットを用いた皮膚感作性試験が免疫毒性との関わりの始まりですが、当時生化学の薄っぺらな知識しか持ち合わせていなかった私に取って抗体の反応性や細胞性免疫機構といった新しい概念の仕事は何とも不可解で理解に苦しんだことを思い出します。モルモットを用いる皮膚感作性試験は皮膚反応を観察することで判定を行いますが、弱い反応の場合には判断に苦慮することも多く、モルモットのIL-2のクローニングを行い皮膚感作性の主体となる抗原特異リンパ球をリンパ球からのサイトカインリリースで証明することを試みたりもしました。この仕事は1990年代の後半ですが、当時は新規の遺伝子の配列を決定するだけで論文になったいい時代でした。その頃、新しい感作性の評価法としてLocal Lymph Node Assay(LLNA)を知り、国際学会参加の折に開発者のIan Kimber博士に教えを請いに行ったのも良い思い出でですが、これは後にLLNA: BrdU-ELISA法(OECD TG442b)の開発につながりました。

これまで感作性評価手法を中心に研究を行ってきましたが、今後も免疫毒性学会の諸先生方にご指導いただきながら学会の発展に貢献できればと存じます。今後ともご指導ご鞭撻賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

 
index_footer.jpg