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新理事長からのご挨拶
吉田 貴彦
(旭川医科大学)

2013年9 月12日の東京代々木で開催されました日本免疫毒性学会第20回学術大会の総会で承認を受けまして、本年10月から日本免疫毒性学会の理事長を仰せつかった、旭川医科大学の吉田貴彦です。ここに書面をお借りして、ご挨拶と抱負などを書かせていただきます。

日本免疫毒性学会は前身の免疫毒性研究会の発足から今年で20回の年会の節目を迎えました。1991年にアメリカ合衆国フロリダ州タンパ市で開催された国際免疫薬理学会において、日本から参加されていた大沢基保先生と、私がその後に留学する事になるNIHのブランチである国立環境科学研究所(National Institute of Environmental Health Sciences)で免疫毒性学ラボを担当されていたMike I. Luster博士等と懇談し、大沢先生が米国のSociety of Toxicology(SOT)のImmunotoxicology Specialty Section(ITox-SS)のような組織を日本にも作りたいと熱く語っておられたことが、つい最近の事のように感じられます。その後、日本免疫毒性学会は1994年に最初の研究会が昭和大学講堂で開催されて以来今まで、名倉宏先生、大沢基保先生、澤田純一先生と引き継がれて発展してきました。こうした歴史が築かれつつある本会の理事長をお引き受けするのは、いささか荷が重いのですが、微力ながら本会の発展のために努力致す所存です。

免疫毒性学において研究対象とする免疫系に影響を及ぼす要因(主には化学物質)は多岐にわたることから、本学会員の背景は多様です。また、最近では健康食品、サプリメント、多様な化粧品が用いられるようになり、さらに遺伝子組み換え作物やナノマテリアルといった新たな対象物も増えつつあることから、人々が安全、安心に暮らせるように本学会は多様なニーズに対応していくことが求められています。また、免疫毒性学の研究手段である実験手法はトキシコロジーの国際標準手法に基づいて整備されて来ましたが、免疫学や分子生物学の研究手法の急激な発展を受けて、新たな局面に入ったような気がしています。私自身、1980年代の免疫毒性学の始めの頃から研究にかかわって来ましたが、昨今の本学会での発表にふれ、当時にメカニズムが不明であった免疫毒性の現象が解明されるようになり改めて報告されるなど、研究の歴史も繰り返されるとの実感を新たにするとともに時の流れの早さを感じています。本学会に属する研究者、特に若い方々が情報交換を密にし、多様な研究手法をもちいることで、社会から期待される成果をあげていただきたいと願っています。

 
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