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Non-category (寄稿・挨拶・随想・その他)
今後の抱負
吉岡 靖雄
(大阪大学大学院薬学研究科毒性学分野)

2012年9 月より、評議員を拝命致しました大阪大学大学院薬学研究科の吉岡靖雄です。ご推薦頂きました川崎医科大学 大槻剛巳先生、西村泰光先生に心から感謝申し上げます。

現在、私は、大阪大学大学院薬学研究科毒性学分野において、堤 康央教授のもと、ナノ・サブナノ素材の持続的な安全使用に向けたナノ安全科学研究に取り組んでいます。近年、ナノ素材(粒子径100 nm以下)や、蛋白質と同等のサブナノサイズ領域(10 nm以下)の素材(サブナノ素材)が開発され、工業用製品・電化製品・日常生活用品・医薬品・食品など、様々な製品として生活の質的向上に寄与しています。また、ナノ・サブナノ素材の医療応用も精力的に試みられており、癌や炎症性疾患を標的としたナノメディシンとも言うべき新たな治療戦略も提唱されています。一方で、ナノ・サブナノ素材のリスク解析に向けた曝露実態情報やハザード情報は未だ十分とは言えず、物性・品質をも加味した安全性情報の収集が急がれています。本観点から我々は、ナノ・サブナノ素材の安全性情報の収集を目的としたNano-Safety Science(ナノ安全科学)研究を推進したうえで、安全なものは積極的に有効活用し、安全性に懸念があるものについては安全なものに仕立てあげていくNano-Safety Design(ナノ最適デザイン)をも推し進めており、これらが両輪となり、安全・安心に持続的に社会受容されるナノ技術(Sustainable Nanotechnology)の開発に繋がると確信しています。これら一連の研究の中で、ナノ・サブナノ素材に対する免疫応答や、ナノ・サブナノ素材がアレルギー疾患に及ぼす影響といったナノ免疫毒性に関して研究を推進しています。これら研究の成果は、安全なナノ・サブナノ素材の開発のみならず、ナノ・サブナノ素材を活用したワクチンアジュバントやワクチンキャリアといったナノメディシン開発にも資する基盤情報を提供可能であると考えています。今後も、ナノ安全科学・ナノ最適デザインの観点から、免疫毒性学領域の発展に寄与したいと念じております。

日本免疫毒性学会の諸先生方におかれましては、今後ともご指導、ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願いいたします。

 
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