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Non-category (寄稿・挨拶・随想・その他)
日本免疫毒性学会の評議員に推薦されて
Tin Tin Win Shwe
(独立行政法人国立環境研究所)

私は現在、国立環境研究所環境健康研究センター生体影響研究室で、環境汚染物質の脳神経免疫系への影響についての研究を行っております。日本免疫毒性学会に初めて参加したのは、第11回日本免疫毒性学会学術大会で、それから毎年参加しております。

私はミャンマーのヤンゴン出身です。ヤンゴン第一医科大学を卒業後、横浜市立大学大学院・医学研究科生理学研究室の博士課程で神経内分泌学を学びました。この課程を通して、化学物質が脳機能に与える影響について興味を持ち始めました。平成15年から国立環境研究所環境健康研究領域生体防御研究室で神経毒性の研究を始めましたが、特に環境汚染物質が免疫機能を修飾しそれによって誘発される異常な神経機能や、学習能力への影響にかかわる研究に深く魅かれるようになりました。私はこれまで、脳内における生体内マイクロダイアリシス法、遺伝子発現をみるRT-PCR法、および学習能力テスト等の実験手段を用いて、神経毒性や免疫毒性に関連する研究を行ってきました。いままで、アレルギーモデル、免疫疾患モデル、感染モデルや炎症モデル等の様々なモデル動物を用い、ディーゼル排気ナノ粒子や揮発性有機化合物(VOC)であるトルエン、農薬ダイアジノン等の環境中の有毒化学物質の脳への影響についての研究を行いました。

現在では、プラスチックの可塑剤であるフタル酸の経気道曝露がマウスアレルギー性喘息モデルの神経・免疫系に及ぼす影響をin vivo, in vitroの方法で調べております。そして、ディーゼル排気由来SOAの生体影響を明らかにするため、一次粒子で認められたいくつかのバイオマーカーを用いて、SOAのマウスの脳や肺に及ぼす影響を検討しております。さらに、IH調理器に相当する中間周波電磁界の曝露に対する神経発達期への影響も調べております。

このたびは日本免疫毒性学会の評議員にご推薦いただき、深く感謝申し上げます。今後とも日本免疫毒性学会の発展に貢献したいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。機会がありましたら自然に恵まれた神秘の国ゴールデンランドミャンマーをぜひ訪ねてみて下さい。

 
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