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今後の抱負
宮越 雄一
(東京慈恵会医科大学環境保健医学講座)

 私は現在、東京慈恵会医科大学環境保健医学講座におきまして、日本免疫毒性学会の理事の柳澤裕之教授のもと、変異原性、亜鉛の生体影響についての研究を行っております。私が日本免疫毒性学会に初めて参加したのは、3年前の神戸での大会でした。まだ免疫毒性の研究は準備段階にあるため、今まで行ってきた研究について書かせていただきます。

 電磁場曝露により白血病や脳腫瘍が増加するという疫学研究があり、そのメカニズムを究明するために、動物を用いて研究をしております。研究室には、我々が日常的に曝露される50Hzまたは60Hzの電磁場を発生することが出来る装置があります。その装置を用いて生後数日齢の新生仔ラットに電磁場を曝露し、脳の細胞であるastrocyteに対する変異原性を観察します。また抗がん剤、発がん物質、変異原物質などを投与後に、電磁場に曝露するという研究もしております。電磁場のみでは変異原性は増加しませんでしたが、化学物質と電磁場との複合曝露では変異原性が増加するという知見が得られました。 その化学物質の変異原性を電磁場が増加させるメカニズムとしては活性酸素種の関与が示唆されております。

 亜鉛欠乏の研究については、味覚障害に関する研究を始めたところです。亜鉛欠乏症では味覚異常が出現すると言われております。そのメカニズム解明のため亜鉛欠乏ラットを作成し、苦味のある塩酸キニーネ水溶液の飲水量を調べ始めているところです。分子生物学的な面や病理学的な検索などを検討する予定です。

 今後は今までの研究を生かして、リンパ球や骨髄などの免疫担当細胞に対する変異原性について研究する予定です。

 このたびは日本免疫毒性学会の評議員にご推薦していただき、深く感謝申し上げます。今後とも日本免疫毒性学会の諸先生方の御指導、御鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。
 
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