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第47回SOTに参加して
香山不二雄
(自治医科大学)

 米国ワシントン州シアトルにて、2008年3月16日から20日まで開催されたSociety of Toxicologyの年大会に参加した。今回は、Immunotoxicology Speciality Section(ISS)で、日本の免疫毒性学の話題として、日本免疫毒性学会の経緯に関して発表を行った。私のNIEHS留学中の写真から始まり、帰国後、名倉先生、大沢先生を中心に、研究会がスタートし、その後、学会となったことや、免疫毒性検査法の多施設間での共同研究などを紹介し、現在の研究の主要なテーマなどに関して報告した(Fig.1)。一応に、本会の会員数の多さと、歴史の長さ、研究テーマの共通していることに、メンバーは驚いていた。それ以外には、Dr. Henke van LoverenへのVos賞の贈呈と講演、Graduate Student 賞、ベスト論文賞などの発表と贈呈があった(Fig.2)。
Fig.1 ISSでの発表風景

Fig.2 ISSのpresident Prof. Pruetと共に

  ISSには、米国に並び欧州からも研究者が訪れており、全部で100名弱の人数であった。また、韓国のCatholicUniversity of DaeguのDr. Heo Yongも参加しており、韓国の免疫毒性研究者が今後の連携をしたいということであった。早速、今年の免疫毒性学会の案内を送ることとした。
 このISSの開催前に、コミッティー・ミーティングに参加し、年間の計画などが話し合われた。Journal of Immunotoxicologyの出版予定と、PubMedへの掲載が了承されたということが報告された。私からのお願いとして、3月中旬から下旬に開催されるSOTの時期は、日本人には会計年度末と卒業式などの行事と重なり、大変参加しにくいので、出来れば、以前7月にバージニアビーチで行っていたような、immunotoxicology summer sessionなどを開催してくれないかとお願いしたが、SOTからの旅費サポートなどの予算は、SOTの開催時期にしか使用できないという理由で、夏期には不可能であるということであった。今後とも、本会とISSとの協力関係が必要であり、人の交流をして、Journal of Immunotoxicologyに投稿していただくようにということであった。PubMedで検索可能になれば、投稿数に弾みが付いて増加すると思われるので、日本からもたくさん投稿するように、私からもお願いしたい。
 本会議でもっとも興味深かったのは、US E.P.AのDr. Bob Luebkeが司会をしたRound Table Sessionの“Immunotoxicity Testing: Should Elevated Antibody Responses be interpreted as an Indicator of Immunotoxicological Hazard?”であった。EPAの新しい農薬に関する免疫毒性評価手法に、SRBC免疫による抗体産生の抑制を使用とするように定められた。しかし、ある種の農薬や化学物質などで抗SRBC抗体産生が増加するものがあり、抑制だけを検出する免疫毒性でいいのかとする議論は、それぞれの参加者の発言に本音が見え隠れして、大変エキサイティングであった。
 学会の番外編として、イチロー、城島の活躍するマリナーズの本拠地である、セイフィコ球場を訪れ、記念撮影とマリナーズグッズをゲットすることはぬかりなく行った(Fig.3)。3月はシーズンオフであり、イチローは日本にいる頃である。球場の目の前にあるピラミッドという名のパブで、日本から来た参加者と交流を深めた。シアトルは、マイクロ・ブルーワリー発祥の地であり、勿論ピラミッドも小規模の醸造施設を店内に持ち、できたての個性あふれるビールを飲むことが出来た。
Fig.3 セイフィコ・フィールドの前にて

 2009年のSOTは3月15日から19日まで、ボルチモアにて開催される予定である。Immunotoxicology Speciality Sectionからのシンポジウムを提案し、野原恵子先生が中心となり、一つのセッションを担当する予定である。来年は番外編も含め、この領域の最も刺激的な学会に、日本からも多くのトキシコロジストが参加されることをお勧めいたします。
 
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