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第48回SOTに参加して
2009年5月
川崎医科大学 衛生学 大槻剛巳

 第48回SOT: Society of ToxicologyのAnnual Meeting に参加してきました。

 実は,私はこの学会に参加するのは,どころか会員でもなかったのですが,現在,2005年度の日本免疫毒性学会学術大会より,SOTの中のISS: Immunotoxicology Specialty Section との交流が進んできておりまして,平成20年度の総会でも御紹介させていただきました様に,SOT/ISSと日本免疫毒性学会では人材交流を進めることとなり,それぞれの学術大会に人材を派遣し合う方向で話が進んでいます。

 今年度は野原先生(国立環境研)が,日本免疫毒性学会からの派遣で,SOT総会に出向かれ,それもこの3月に出席されるというだけでなく,1年半近く前から,シンポジウム(SOT/ISSとJSITの共同企画)の企画立案から始まって,その調整などもされた上で,今回は,シンポジウムの座長とともにシンポジストとしてのご発表もされました。

 で,私は,実は,2010年3月に行われる第49回SOTでの日本免疫毒性学会からの派遣研究者として2008年末から企画その他をアメリカのSOT/ISSのメンバーに提示した上で,企画を練っている最中だったのですが,奈何せん,これまで参加もしたことない学会で,もし,私の提示している企画案が,最終的に採用された場合に,シンポジウムとして採択されて,いきなり初めての学会で,座長やシンポジストを務めるのも荷が重すぎる! って感じていましたので,今回,初参加をし,また,SOTの会員になる手続きを取ったりしていたところだったのです。

 いやぁ・・・とっても大きな学会でした。今年は,Maryland州のBaltimoreにありますコンベンションセンターで開催されたのですが,この会場は年間を通じて多くのコンベンションが開催されるそうですが,7月には「OTAKON」というのが例年開催され・・・これはアニメ関係のイベントだそうで・・・「おたく」が語源であるそうです。で,そのでっかい会場で,それでもポスターもそれぞれのセッションも一杯の会場を使って行われておりました。



 で,今年度の野原先生のシンポジウムについては,おそらくImmunoTox Letterに野原先生ご自身が詳細をご紹介されると思いますが,Transcriptional Changes in Immunotoxicology: Transcription factors, Signal Transduction, and Epigenetics というタイトルのシンポジウムで,とっても充実したセッションでした。ちょっと来年大丈夫かな??って不安になりながら,会場で拝聴させていただいておりました。野原先生,お疲れ様!



 そして一応,私も下見に参加ってつもりでしたが,どうせ参加するなら発表もしておかないとってことでポスターを出しておりました。参加されていた何人かの先生方も問いかけなどもして下さって,それはそれでよい時間を持てました。



 さて,とっても個人的な印象では,非常に大きな大会なので,どうしてもそれぞれのセクションでの集まりが中心になる感じでした。セクションごとで夕方には会場内の部屋を使ってMeeting & Reception も催されていましたし,今回のISSの会合には,野原先生,それと2008年に日本免疫毒性学会を代表して参加され,この会合の際に,日本免疫毒性学会の現状と,将来の交流に向けてのコメントをされた香山先生,それに野原先生のラボの鈴木先生,そして私も参加しました。SOT/ISSの何人かの先生方とも一緒に写真に入らせていただきました。



 それと,このシンポジウム等の企画などについても,実は,まずISS内でその選別が行われ,加えて,これをSOT全体の年会の委員会に上申するってスタイルの様なのですが,一応,大槻が提案して,Montana のProf. Holian と企画を進めてきたテーマは,ISSの中では,採択されまして,全体委員会に提案していただけるようです----来年は,Salt Lake City/Utahです。さて,どうなるのでしょうか?



 そして,他にも高橋先生や,井上先生のお姿も会場内ではお見かけしたのですが・・・・。香山先生とは,ギリシャ料理をディナーしにご一緒させていただいたりもしたのですが・・・。まぁそのあたりは,川崎医科大学衛生学のHPにも詳細を紹介しておりますので,ぜひ,アクセスしてみてください。http://www.kawasaki-m.ac.jp/hygiene/ でございます。

 で,ほとんど会場に居たのですが,ちょっと散策していて興味深かったのは,アメリカンビジョナリー美術館でした。Baltimoreってチェサピーク湾が一番奥まで入り込んだ辺りで,確かに,会場からちょっと歩くとその湾岸でインナーハーバーエリアって呼ばれているのですが,その一番湾/港が入り込んだところを,少し南側に歩いているとこの美術館がありました。で,その外観を紹介しますが,壁から掌が飛び出していたり,でっかい金属製のバイオリンがあったり・・・とってもユニークな美術館でした。



 ガイドブックによりますとここで取り上げているのは,正式な美術関係の教育は受けずに自分の感性だけで作品を作り上げていった人々のアートを展示しているとのことです。でも,とっても気に入りました。・・・・ちょっと笑ったのは,中の売店で,いくつかの書籍が置いてあるのですが,いわゆる日本のたぶん,原宿あたりに出没するコスプレ少女たちの写真集や,日本のヴィジュアル系バンドの写真集などが,平積みでメインで置いてあったことでした。いやぁ,ある意味,この辺り(アニメとか“おたく”とかも含めて)が日本文化なのねってちょっと関心しました。



 勿論,ちょうどインナーハーバーのサイエンス・センターの近くには,突然の様に日本式の灯篭と「友愛」と刻まれた碑が出現していて,これもまた日本文化なのですが,これはどうも,川崎市との友好都市っていうか姉妹都市っていうか,そういう条約(?)を昭和54(1979)年6月14日に締結しているそうです。---あれ,でもこの日付は,実は川崎市のHPから採ったのですが,うちのHPで紹介しているBaltimoreの碑の日付は,1984年になってますね??? この5年の違いはなんなんだろう? なんて,思っちゃいます。



 それと,今回,宿泊については,ぎりぎりになって・・・全然とれなくって,学会斡旋の中から,会場へのアクセスをみて,Raddison Hotelにしました・・・これが,また,1928年創業のとっても由緒あるっていうか,historicalなホテルだったそうです・・・。まぁこれも旅!って感じで,それなりに楽しみましたけど・・・。



 で,日本出発から帰国まで,延べ1週間のBaltimoreツアーも終了しました。で,帰りは,まずは,BaltimoreからSan Franciscoまで5時間のフライトでした。その時が結構,好天で,ロッキー山脈を横切って,また,UtahからNevadaのなんだか枯れ切った土地の辺りも,上空からとっても楽しめました。



 さてさて,帰ってきてから改めて来年,企画案(ちなみに Silica and Asbestos Immunotoxicityというシンポジウム案なのですが)が採択されて,来年きちんと発表と座長を務めることが出来るのかどうか,ちょっと不安もありますが・・・かつ,3月のSalt Lake City って寒そうって想いながら・・・でも,がんばっていきましょう! って考えてます。こういう交流が進むことは日本免疫毒性学会にも,やっぱり良いことって思いますしね!

 来年も,うまくいきましたよ! って報告できることを祈りつつ・・・・大槻でした。
 
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