第6回日本免疫毒性研究会:予告


第6回免疫毒性研究会開催にあたって

名倉 宏 東北大学院医学系研究科病理学講座
1998; No.6, p1

"毒性"という言葉は、毒性が細胞のさまざまな機能を直接障害することを意味することが多いが、近年それ自体摂取された直後には目立った障害作用を示さないが、直接に、また取り込まれた後、生体内で修飾を受けたものが免疫系細胞に作用し、免疫反応の制御機能を乱し、その結果、生体が障害を受ける幾多の例が知られるようになった。これらの機序の解明や"毒"作用の検定法の確立を目指すのが免疫毒性研究会の主要な役割と理解している。免疫反応の感受性には、同一種間でも個体差が大きくまたその個体が置かれた生体内外の環境要因でも左右されることが大きい。異種間の差異はさらに大きいと考えられる。

 最近話題でもある内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)も、かく乱されて内分泌系から分泌されたホルモンを介し、また直接に免疫相当細胞に作用し、生体機能の恒常性維持を破綻する。第5回免疫毒性研究会(阪大森本兼曩教授会長)では、外因性の物質に対する生体の障害作用とその神経系内分泌系による修飾がシンポジウム「神経内分泌を介した免疫毒性」で討論されることになっている。こうした"毒"作用は、その物質の摂取経路によっても大きく相違し、経口投与した場合ではその"毒"作用が著しく軽減することは実験的に知られている。すなわち、粘膜系免疫機構が"毒"物の生体内へ侵入を防御するとともに、侵入してしまった"毒"物に対し生体が過剰に反応することを抑制している。

 明年9月開催予定の第6回免疫毒性研究会のお世話をおおせつかったが、主テーマをこうした免疫毒性と粘膜免疫機構との関連を取り上げてみたいと思っている。私の主要な研究テーマが粘膜免疫機構であるだけに、その特徴を十分に生かした免疫毒性研究会を構築したく思っている。会員の皆様方で、お気付きの点がありましたら御遠慮なくお申し付け下さい。

日時:平成11年9月下旬
場所:仙台市東北大学医学部艮陵会館

で準備を始めました。多数のご参加を期待しています。